株式現物出資会計処理における税務上の留意点

株式現物出資会計処理の概要

株式現物出資会計処理は、企業会計において重要な位置を占める処理の一つです。

従来の現金出資とは異なり、株式発行会社が発行する株式と、出資者が保有する現金以外の資産（現物）を対価とする出資方法を、株式現物出資と呼びます。

この株式現物出資が行われた際には、企業会計上、様々な処理が必要となります。

株式現物出資のメリットとデメリット

株式現物出資には、現金出資と比較して、企業側、出資者側双方にメリットとデメリットが存在します。

企業側のメリット

現金の調達なしに、事業に必要な資産を取得できる。

優良な資産を保有する出資者を株主として迎え入れることができる。

企業側のデメリット

現物出資された資産の評価が難しい場合がある。

評価額によっては、税務上の問題が生じる可能性がある。

出資者側のメリット

保有資産を換金することなく、株式を取得できる。

株式公開を見据えている場合、キャピタルゲイン課税を繰り延べできる可能性がある。

出資者側のデメリット

出資する現物の評価額によっては、想定よりも少ない株式数しか取得できない可能性がある。

株式公開前に企業が倒産した場合、出資した現物が回収できないリスクがある。

株式現物出資における会計処理の重要性

株式現物出資会計処理においては、現物出資された資産の評価が最も重要となります。

評価額が適切でない場合、企業会計原則に則っていないと判断され、財務諸表の信頼性が損なわれる可能性があります。

また、税務上も、評価額が適正価格と乖離しているとみなされた場合、課税額が変わる可能性があります。

そのため、株式現物出資会計処理は、専門家である公認会計士や税理士に相談しながら進めることが重要です。

株式現物出資の種類と会計処理

株式現物出資には、大きく分けて「固定資産による出資」と「棚卸資産による出資」の2種類があります。

それぞれのケースにおける会計処理について解説します。

1. 固定資産による出資

土地や建物などの固定資産を現物出資する場合、その評価額は、原則として「時価」によって評価されます。

時価とは、市場で取引される価格を指し、不動産鑑定士による鑑定評価や、類似の取引事例を参考にすることで算出されます。

会計処理としては、現物出資された固定資産を時価で評価し、貸借対照表の固定資産の部に計上します。

同時に、発行する株式の額面金額と時価の差額を資本準備金として計上します。

2. 棚卸資産による出資

製品や商品などの棚卸資産を現物出資する場合、その評価額は、原則として「低価主義」に基づいて評価されます。

低価主義とは、取得原価と時価を比較し、低い方の金額で評価する方法です。

会計処理としては、現物出資された棚卸資産を評価額で計上し、貸借対照表の棚卸資産の部に計上します。

同時に、発行する株式の額面金額と評価額の差額を資本準備金として計上します。

株式現物出資会計処理における注意点

株式現物出資会計処理を行う際には、以下の点に注意する必要があります。

現物出資する資産の評価は、適正に行うこと。

会計処理は、専門家である公認会計士や税理士に相談すること。

税務上の取扱いについても、事前に確認しておくこと。

株式現物出資会計処理は、企業会計上、非常に重要な処理です。

適切な処理を行うことで、企業の健全な発展に繋げることが重要となります。