株式証明書に基づく財産分与における法的課題と解決策

株式証明保有財産分与における法的課題と実務対応

近年、婚姻期間中に夫婦のいずれかが取得した株式が増加傾向にあり、それに伴い離婚時の財産分与においても、株式証明保有財産分与が重要な論点となるケースが増加しています。株式は、その性質上、評価方法や分割方法が複雑であり、夫婦間で合意形成が困難となるケースも少なくありません。本稿では、株式証明保有財産分与における法的課題と実務対応について解説します。

１．株式評価の難しさ

株式証明保有財産分与において、まず問題となるのが株式の評価です。株式の価値は、企業の業績や市場の動向によって常に変動するため、評価時点によって大きく異なる可能性があります。そのため、財産分与の対象となる株式の評価方法については、法律で明確な基準が定められているわけではなく、裁判例や実務上の運用が参照されることになります。

一般的な株式評価方法としては、以下の３つが挙げられます。

①時価評価：評価時点における市場価格によって評価する方法

②純資産価額方式：企業の純資産（資産から負債を差し引いた金額）を基に評価する方法

③収益還元方式：企業の将来の収益を現在価値に割り引いて評価する方法

どの評価方法を採用するかは、株式の種類や企業の規模、業種等を考慮して決定されますが、当事者間で意見が対立することも少なくありません。特に、未上場株式の場合には、市場価格が存在しないため、評価がより困難となります。

２．株式分割の難しさ

株式の評価が完了した後、次に問題となるのが株式の分割方法です。株式は、原則として、単元未満の分割が認められていないため、財産分与の対象となる株式の評価額に応じて、夫婦の一方が他方に対して代償金を支払うケースが一般的です。

しかし、代償金の支払いが困難な場合や、一方が経営に携わっている会社の株式を他方が取得することにより、経営に支障が生じる可能性がある場合には、他の分割方法を検討する必要があります。例えば、株式の一部を売却して現金化する、信託契約を利用する、等の方法が考えられます。

また、近年では、離婚前に夫婦間で株式の取扱いについて合意し、公正証書を作成しておくケースも増えています。これは、将来の紛争を予防する効果が期待できるだけでなく、株式の評価や分割方法について、当事者の意向を反映させやすいというメリットもあります。

３．弁護士の役割

株式証明保有財産分与は、専門的な知識を要する問題が多く、当事者間での解決が困難な場合も少なくありません。そのため、弁護士に相談し、法的アドバイスを受けることが重要となります。

弁護士は、株式評価や分割方法に関する法的知識や豊富な経験に基づき、依頼者に最適な解決策を提案します。また、相手方との交渉や調停、裁判手続きを代理人として行うことも可能です。

株式証明保有財産分与でお悩みの方は、一人で抱え込まず、お早めに弁護士にご相談ください。