非上場株式投資における純資産価額法と前払費用の会計処理

取引相場のない株式の評価と取引相場のない株式純資産価額前払費用

企業が他の会社の株式を取得する場合、その取得価額は取得原価で処理されます。取得原価は、一般的には取得に直接要した費用を含めた金額となります。しかし、取引相場のない株式を取得する場合、その評価は複雑になり、企業会計上、特別な処理が必要となる場合があります。本稿では、取引相場のない株式の評価と、それに伴い発生する取引相場のない株式純資産価額前払費用について解説します。

取引相場のない株式の評価方法

取引相場のない株式の評価方法は、企業会計基準や税法で定められています。具体的には、以下のいずれかの方法で評価するのが一般的です。

純資産価額法：対象会社の純資産（資産から負債を差し引いた金額）を基に評価する方法

収益還元法：対象会社の将来の収益力を基に評価する方法

類似会社比較法：対象会社と類似した上場会社の株価を参考に評価する方法

これらの評価方法は、それぞれ一長一短があり、どの方法を採用するかは、対象会社の状況や取得目的などを総合的に判断して決定されます。例えば、非上場のスタートアップ企業のように、将来の収益予測が困難な場合は、純資産価額法が用いられることが多いです。

取引相場のない株式純資産価額前払費用とは

取引相場のない株式純資産価額前払費用とは、取引相場のない株式を取得した場合に、取得原価と取得時点における純資産価額との差額を計上する費用です。具体的には、取得原価が純資産価額を上回る場合に計上されます。

例えば、A社がB社の株式を100億円で購入し、取得時点におけるB社の純資産価額が80億円であったとします。この場合、A社は20億円の取引相場のない株式純資産価額前払費用を計上する必要があります。この費用は、将来の収益獲得の可能性を対価として支払われたものと考えられ、原則として20年以内の期間で均等償却されます。

取引相場のない株式純資産価額前払費用の会計処理

取引相場のない株式純資産価額前払費用は、貸借対照表上では、「無形固定資産」として計上されます。そして、毎期、定められた償却方法に従って償却費を計上し、費用処理されます。償却費は、損益計算書上の「営業外費用」として計上されます。

まとめ

取引相場のない株式の評価は、企業会計上、重要な論点となります。取引相場のない株式純資産価額前払費用は、取得原価と純資産価額の差額を適切に処理するための会計上の概念であり、企業は適切な評価方法を採用し、適切な会計処理を行う必要があります。