相続財産における株式評価の留意点

相続が発生した場合の株式評価：相続税対策の基礎知識

人が亡くなり相続が発生した場合、故人が保有していた財産のすべてが相続財産となります。現金や不動産だけでなく、株式も相続財産に含まれることをご存知でしょうか。株式は上場株式、非上場株式など、その種類も様々です。今回は、相続財産に株式が含まれている場合に必要となる相続株価評価について、基礎知識から詳しく解説していきます。

株式の種類と評価方法

株式には大きく分けて「上場株式」と「非上場株式」の2種類があります。上場株式は証券取引所に上場されている株式のことで、日々市場で売買され、その価格は変動しています。一方、非上場株式は証券取引所に上場されていない株式のことです。中小企業の株式やスタートアップ企業の株式などがこれにあたります。これらの株式は市場で自由に売買することができないため、評価方法が上場株式とは異なります。

上場株式の評価方法

上場株式の相続株価評価は、原則として相続発生日における取引所の最終価格を採用します。これを「原則株価」といいます。もし、相続発生日に取引がなかった場合は、その前後の取引日の終値から算出します。具体的には、相続開始日の前後各2週間以内における取引日の終値を平均して算出します。

非上場株式の評価方法

非上場株式は市場で取引されていないため、評価は複雑になります。一般的には、以下の3つの方法を総合的に考慮して評価額を決定します。

類似業種比準価額方式：類似の上場企業の株価を参考に評価する方法

純資産価額方式：会社の純資産（資産から負債を差し引いた金額）を基に評価する方法

収益還元価額方式：会社の将来の収益を現在価値に割り引いて評価する方法

相続税評価額の計算と納税

相続税の申告では、相続財産を評価額によって計算する必要があります。株式も同様に、上記で算出した相続株価評価額に基づいて相続税額が計算されます。相続税は、相続財産の総額から基礎控除額などを差し引いた課税価格に税率をかけて算出します。株式の評価額が高額になればなるほど、相続税額も高くなるため、注意が必要です。

相続税対策としての株式対策

相続税対策として、株式の評価額を下げる方法があります。ただし、安易な節税対策は税務調査で指摘される可能性もあるため、専門家への相談が必要です。主な株式対策としては、以下のような方法があります。

事業承継税制の活用：事業承継を円滑に進めるための税制優遇制度を活用する

株式の贈与：生前に株式を贈与することで、相続財産を減らす

種類株式の発行：議決権を制限する代わりに配当金を多く受け取ることができる種類株式を発行する

まとめ

相続発生時に保有している株式は、上場株式・非上場株式問わず相続財産に含まれ、相続株価評価に基づいて相続税が課税されます。株式は評価額が高額になりやすく、相続税対策が重要となる財産です。相続税対策を検討する際は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。