国際経済制裁下における資産凍結株式の行方

資産封鎖株式とは

資産封鎖株式とは、企業が保有する株式のうち、売却や譲渡などが制限されている株式のことを指します。具体的には、会社法上の譲渡制限株式や、証券取引所の規定による上場廃止基準に抵触するおそれのある株式などが該当します。

資産封鎖株式の種類

資産封鎖株式は、大きく分けて以下の2つの種類に分類されます。

1. 法令等に基づくもの

会社法などの法令や、定款の規定により、譲渡などが制限されている株式です。具体的には、以下の様なものが挙げられます。

譲渡制限株式：株主総会の特別決議による承認が必要な株式

募集株式の発行制限：定款に定められた期間内は、新たな募集株式を発行できない

自己株式の保有制限：会社が自己の株式を取得・保有することの制限

2. 事実上の制限

法令や定款の規定によるものではないものの、事実上、売却や譲渡などが制限されている株式です。具体的には、以下の様なものが挙げられます。

上場廃止基準に抵触するおそれのある株式：業績悪化などにより、上場廃止基準に抵触するおそれのある株式

流動性の低い株式：市場で売買されることが少なく、売却が困難な株式

担保に供されている株式：金融機関などからの融資の担保として提供されている株式

資産封鎖株式の問題点

資産封鎖株式は、企業にとって以下のような問題点があります。

1. 資金調達の制約

資産封鎖株式は、売却や譲渡が制限されているため、資金調達のための手段として活用することができません。そのため、企業は、新たな事業展開や設備投資などの資金需要が生じた場合、他の資金調達手段を検討する必要が生じます。

2. 企業価値の低下

資産封鎖株式は、流動性が低く、市場で評価されにくいことから、企業価値の低下を招く可能性があります。また、資産封鎖株式の存在は、投資家からの企業に対する評価を低下させ、資金調達コストの上昇や、M&Aなどの際に不利な条件を強いられる可能性もあります。

資産封鎖株式への対策

資産封鎖株式への対策としては、以下のようなものが考えられます。

1. 譲渡制限の解除

会社法などの規定に基づき、株主総会の特別決議などによって、譲渡制限を解除する方法です。ただし、譲渡制限を解除することで、経営権の安定性が損なわれる可能性もあるため、慎重な検討が必要です。

2. 株式の流動性向上

株式分割や株式公開などによって、株式の流動性を向上させる方法です。流動性が向上することで、市場での評価が高まり、企業価値の向上につながる可能性があります。

3. 会社法上の組織再編

会社分割や株式交換などの会社法上の組織再編によって、資産封鎖株式を保有する子会社を分離・独立させる方法です。これにより、親会社は資産封鎖株式のリスクを分離することができます。

資産封鎖株式は、企業にとって重要な経営課題の一つです。企業は、資産封鎖株式の現状を把握し、適切な対策を講じていくことが重要です。