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株式発行無効確認訴訟

更新:2024-06-15 04:35:15読む:83

株式返還訴訟の概要

株式返還訴訟とは、株式会社の株主が、その株式の取得につき瑕疵があったことを理由に、会社または相手方当事者に対して、株式の返還を求める訴訟をいいます。本稿では、株式返還訴訟の概要、成立要件、効果、実務上の留意点について解説していきます。

株式返還訴訟の対象となる株式

株式返還訴訟の対象となる株式は、原則として、種類株式、無議決権株式を含むあらゆる種類の株式が含まれます。ただし、新株予約権のように、株式に変換される前の権利については、原則として対象外となります。また、非公開会社、公開会社を問わず、すべての株式会社の株式が対象となります。

株式返還訴訟の成立要件

株式返還訴訟を提起し、勝訴するためには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 株式の取得につき瑕疵があること

株式の取得につき、意思表示の瑕疵(詐欺、錯誤、強迫)や、会社法上の手続き違反など、何らかの瑕疵が存在することが必要です。具体的には、以下のような場合が挙げられます。

会社または役員が、重要な事実を隠蔽したり、虚偽の事実を告げたりして、株主を欺いて株式を引き受けさせた場合

株主が、会社の経営状況などについて重要な事実を誤認して、株式を引き受けた場合

会社が、株主総会の決議を経ずに、違法に株式を発行した場合

2. 瑕疵と株式取得との間の因果関係

株式の取得につき瑕疵があったとしても、その瑕疵と株式取得との間に因果関係がなければ、株式返還訴訟を提起することはできません。例えば、株主が、会社の経営状況について重要な事実を誤認していたとしても、その誤認がなければ株式を取得しなかったと認められる場合に限り、因果関係が認められます。

3. 除斥期間の経過

株式返還訴訟は、瑕疵を知った時から6ヶ月、または株式の取得から5年を経過した場合には、時効により請求することができなくなります。ただし、会社が事実を隠蔽していた場合など、正当な理由がある場合には、この限りではありません。

株式返還訴訟の効果

株式返還訴訟が認められると、株主は、会社または相手方当事者に対して、株式を返還し、対価として支払った金銭の返還を請求することができます。また、株式の返還に加えて、損害賠償を請求することも可能です。

実務上の留意点

株式返還訴訟は、複雑な法的問題を含むことが多く、専門的な知識が必要とされます。そのため、訴訟を検討する際には、事前に弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。また、訴訟を提起する前に、会社に対して、任意に株式の買い取りを求めるなどの交渉を行うことも考えられます。

株式返還請求権の放棄

株主は、株式の取得につき瑕疵があることを知った後も、一定の行為をすることによって、株式返還請求権を放棄してしまうことがあります。具体的には、以下のような行為が、株式返還請求権の放棄とみなされる可能性があります。

瑕疵を知った後も、長期間にわたって、株主としての権利を行使し続けること

会社に対して、瑕疵を承知の上で、増資への参加や、新たな株式の取得などの投資行為を行うこと

会社が経営危機に陥っていることを知りながら、何らの対策も講じず、静観し続けること

上記のような行為は、たとえ明示的に株式返還請求権を放棄する旨の意思表示がなかったとしても、黙示の放棄とみなされる可能性があります。そのため、瑕疵を知った後には、速やかに専門家に相談し、適切な対応をとることが重要です。

株式返還訴訟における立証責任

株式返還訴訟においては、原告である株主側が、株式の取得につき瑕疵があったこと、瑕疵と株式取得との間に因果関係があること、除斥期間内であることを立証する責任を負います。一方、被告である会社側は、株主が瑕疵を知っていたことや、株式返還請求権を放棄したことを立証することによって、請求を争うことができます。

株式返還訴訟の判例

株式返還訴訟

株式返還訴訟は、個別具体的な事案に応じて判断されるため、過去の判例が必ずしも今回の事例に当てはまるとは限りません。しかし、過去の判例を参考に、裁判所の考え方を理解しておくことは重要です。例えば、以下の判例は、株式返還訴訟を考える上で参考になります。

最判平成17年7月14日(最高裁判所平成15年(オ)第1871号)

東京地判平成22年12月16日(東京地方裁判所平成21年(ワ)第20079号)

これらの判決は、いずれも、会社側が重要な事実を隠蔽していたことが認められ、株主側の請求が認められた事例です。これらの判例からは、会社側が誠実に情報を開示していなかった場合、たとえ善意であったとしても、責任を負う可能性があることが分かります。

まとめ

株式返還訴訟は、会社の経営に関わる重大な紛争となる可能性があります。そのため、訴訟を検討する際には、事前に専門家に相談し、慎重に対応することが重要です。また、会社側は、訴訟リスクを回避するために、日頃から、株主に対して、正確かつ十分な情報開示を行うことが重要となります。

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