法人税株式譲渡における繰延税金資産の処理実務

法人税株式譲渡における留意点

企業のM&Aや事業承継において、株式譲渡は頻繁に用いられる手法です。株式譲渡に伴い発生する税金は、譲渡する側・譲り受ける側双方にとって重要な検討事項となります。特に、譲渡益に対して課税される法人税は、企業の資金繰りに大きな影響を与える可能性があります。本稿では、法人税株式譲渡における留意点について解説します。

1. 譲渡益の計算

法人税株式譲渡において、まず重要なのは譲渡益の計算です。譲渡益は、株式の譲渡価額から取得費や譲渡費用を差し引いて計算されます。

(1) 譲渡価額

譲渡価額は、株式の譲渡対価として実際に受け取った金額を指します。ただし、税務上は、その金額が経済的な実態に即しているかどうかが重視されます。例えば、親会社と子会社間など、特別な関係のある者間で株式譲渡が行われた場合、その譲渡価額が市場価格と比べて著しく低い場合には、税務上の問題となる可能性があります。

(2) 取得費

取得費とは、譲渡する株式の取得のために要した費用を指します。具体的には、株式の購入代金だけでなく、株式の取得に直接必要な手数料や税金なども含まれます。

(3) 譲渡費用

譲渡費用とは、株式の譲渡のために要した費用を指します。具体的には、弁護士や公認会計士等への報酬、株式評価費用、印紙税などが該当します。

2. 税率

法人税株式譲渡における法人税の税率は、原則として実効税率約30％となります（令和4年10月1日現在）。ただし、中小企業が一定の要件を満たす場合には、軽減税率が適用される場合があります。

3. 納税方法

法人税株式譲渡による法人税は、原則として譲渡した事業年度の確定申告によって申告・納税します。

4. 税務リスクへの対応

法人税株式譲渡においては、譲渡益の計算や適用税率等に関して、税務上の解釈が問題となるケースがあります。そのため、事前に税理士等の専門家によるアドバイスを受けるなど、適切な対応が必要です。

5. その他留意点

法人税株式譲渡を行う際には、税務上の観点だけでなく、会計処理や法務上の手続き等、様々な側面からの検討が必要です。特に、企業グループ内での株式譲渡や、海外企業との取引を伴う株式譲渡の場合には、より複雑な問題が発生する可能性があります。

以上、法人税株式譲渡における留意点について概説しました。株式譲渡は企業にとって重要な意思決定となるため、事前に専門家へ相談するなど、十分な検討を行うことが重要です。