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雑所得繰越控除適用時の株式譲渡所得計算事例

更新:2024-06-15 03:17:23読む:158

雑所得繰越株式とは

雑所得繰越株式とは、平成13年3月31日までに取得した上場株式等(みなし譲渡や特定株式交換等により取得したものも含む)で、以下の要件を満たすものをいいます。

上場株式等の取得の際に取得費用の額の計算上、その取得に要した金額の全部又は一部が、所得税法施行令第68条第1項第5号の規定により、その者のその年における総所得金額の計算上収入金額とすべきとされていること

雑所得繰越株式

その上場株式等の取得の日の属する年分の所得税の確定申告において、所得税法施行令第124条の2第1項の規定の適用を受けていないこと

雑所得繰越株式の税務上のメリット

雑所得繰越株式を譲渡した場合、その譲渡益は原則として雑所得に区分され、総合課税の対象となります。しかし、雑所得繰越株式には、以下の2つの税務上のメリットがあります。

譲渡益の計算上、取得費に上乗せすることができます。具体的には、雑所得繰越株式の取得に要した金額のうち、所得税法施行令第68条第1項第5号の規定により、その者のその年における総所得金額の計算上収入金額とされた金額を、その雑所得繰越株式の取得費に加算することができます。

譲渡損失が生じた場合、他の所得と損益通算することができます。ただし、給与所得、退職所得との損益通算は、一定の要件を満たす場合に限定されます。

雑所得繰越株式の譲渡時期の検討

雑所得繰越株式の譲渡時期は、税務上のメリットを最大限に享受できるよう、慎重に検討することが重要です。

例えば、雑所得繰越株式の譲渡益が大きくなりそうな場合には、分離課税となる株式譲渡所得として申告できる特定口座や、NISA口座を利用して譲渡することも検討できます。

一方、雑所得繰越株式の譲渡損失が生じそうな場合には、給与所得や退職所得との損益通算ができる時期に譲渡することが有利になります。

雑所得繰越株式の譲渡は、税務上の取扱いが複雑なため、事前に税理士等に相談することをおすすめします。

雑所得繰越株式の具体例

例えば、Aさんが、平成12年に会社からストックオプションにより、1株100円の株式を1,000株、時価150円で取得したとします。この場合、Aさんの給与所得は500,000円((150円 - 100円)× 1,000株)増加し、取得費は150,000円(150円 × 1,000株)となります。

その後、Aさんが、令和4年にこの株式を時価200円で譲渡した場合、Aさんの譲渡益は50,000円((200円 - 150円)× 1,000株)となります。ただし、この株式が雑所得繰越株式に該当する場合、Aさんは、上記の50,000円の譲渡益に加えて、給与所得として課税された500,000円を取得費に加算することができます。

その結果、Aさんの譲渡益は、実質的には450,000円の損失(50,000円 - 500,000円)となり、他の所得と損益通算することが可能になります。

まとめ

雑所得繰越株式は、税務上の取扱いが複雑なため、譲渡を検討する際には、事前に税理士等に相談し、適切な対応をとることが重要です。

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