人事院規則による株式公開企業従業員の届出義務と兼業規制

公務員の副業：人事院株式届出兼業規制とその影響

近年、働き方改革や副業解禁の流れを受け、公務員の副業に対する関心が高まっている。政府も「公務員の率先垂範」を掲げ、副業を推進する姿勢を見せている。しかし、公務員には一般企業とは異なる、人事院株式届出兼業規制が存在する。これは、国家公務員法第103条および地方公務員法第38条に基づき、公務員の信用失墜や職務専念義務との関係から、一定の副業を制限するものだ。本稿では、人事院株式届出兼業規制の内容とその影響、そして今後の展望について考察する。

人事院株式届出兼業規制の概要

人事院株式届出兼業規制は、大きく分けて「許可制」と「届出制」の2種類がある。許可制となるのは、営利企業への従事や報酬を得ての継続的な業務など、職務専念義務に影響を及ぼす可能性が高いと判断される場合だ。一方、届出制となるのは、NPO法人での活動や単発的な講演など、公務員の信用失墜や職務専念義務に影響が少ないと判断される場合である。許可制の場合、所属長を経由して人事院に申請を行い、承認を得る必要がある。届出制の場合も、事前に所属長への届出が義務付けられている。

規制の現状と課題

人事院株式届出兼業規制は、公務員の信用と職務の公正性を守るという観点から、一定の役割を果たしてきたと言える。しかし、近年は、以下の様な課題も指摘されている。

1. 規制の複雑さ

許可制と届出制の線引きが曖昧であり、公務員にとって分かりにくいという声がある。また、申請や届出の手続きが煩雑で、副業を始めたくても、手続きの負担を感じて諦めてしまうケースも少なくない。

2. 時代遅れの側面

情報化社会の進展により、企業や個人の活動が多様化している現代において、従来の規制が時代にそぐわなくなってきているという指摘がある。例えば、インターネットを利用した情報発信やスキル販売など、新しい働き方が規制の対象となるかどうか、判断が難しいケースが増えている。

今後の展望

政府は、公務員の副業を推進する一方で、人事院株式届出兼業規制についても、時代の変化に合わせて見直す方針を示している。具体的には、許可制と届出制の線引きを見直し、より分かりやすく、利用しやすい制度にすることが検討されている。また、申請や届出の手続きについても、オンライン化など、簡素化に向けた取り組みが進められている。今後、公務員の副業がより一層促進されるためには、規制の緩和だけでなく、公務員自身の意識改革や、副業に関する相談体制の整備など、多角的な取り組みが必要となるだろう。