低廉譲渡株式法人税

低廉譲渡株式法人税の概要

低廉譲渡株式法人税とは、法人税法上の制度の一つであり、企業がその発行する株式を時価よりも低い価格で譲渡した場合に課税される法人税のことです。この制度は、企業が株式の低廉譲渡を通じて不当に利益を移転することを防止し、税負担の公平性を確保することを目的としています。

低廉譲渡株式法人税の対象となる取引

低廉譲渡株式法人税の対象となる取引は、以下の通りです。

法人がその発行する株式を時価よりも低い価格で譲渡した場合

法人がその発行する新株予約権を時価よりも低い価格で付与した場合

ただし、以下のいずれかに該当する場合は、低廉譲渡株式法人税の対象とはなりません。

適格組織再編成等の場合

従業員持株会等への譲渡の場合

その他、政令で定める場合

低廉譲渡株式法人税の計算方法

低廉譲渡株式法人税は、以下の算式によって計算されます。

低廉譲渡株式法人税 = (時価 - 譲渡価額) × 発行済株式総数 × 所有割合

ここで、

時価：譲渡時点における当該株式の市場価格

譲渡価額：実際に譲渡された価格

発行済株式総数：譲渡時点における当該法人の発行済株式の総数

所有割合：譲渡した者が譲渡後に当該法人の発行済株式の総数に占める割合

低廉譲渡株式法人税の納付

低廉譲渡株式法人税は、譲渡をした法人が、譲渡をした日の属する事業年度の法人税の申告と併せて納付する必要があります。

低廉譲渡株式法人税に関する留意点

低廉譲渡株式法人税は、企業にとって多額の税負担となる可能性があります。そのため、株式の譲渡を検討する際には、事前に専門家へ相談するなどして、低廉譲渡株式法人税のリスクを十分に検討することが重要です。

時価の算定方法

低廉譲渡株式法人税の計算においては、時価の算定が重要な要素となります。時価は、一般的には市場価格を参考に算定されますが、非上場株式など市場価格が存在しない場合には、類似会社比較法やDCF法などの評価方法を用いて算定する必要があります。

税務調査のリスク

低廉譲渡株式法人税は、税務調査において特に重点的に調査される項目の一つです。税務調査官は、時価の算定方法や譲渡の経緯などを詳細に調査し、低廉譲渡に該当すると判断した場合には、追徴課税を行う可能性があります。

低廉譲渡株式法人税の事例

A社は、B社に対して、A社の発行する株式を時価1株あたり1,000円のところ、1株あたり500円で譲渡しました。この場合、A社には低廉譲渡株式法人税が課税される可能性があります。

具体的には、A社の発行済株式総数が100万株、B社がA社の株式の50%を取得した場合、低廉譲渡株式法人税は以下のようになります。

低廉譲渡株式法人税 = (1,000円 - 500円) × 100万株 × 50% = 2億5千万円

このように、低廉譲渡株式法人税は多額になる可能性があるため、注意が必要です。

まとめ

低廉譲渡株式法人税は、企業にとって大きな影響を与える可能性のある税金です。株式の譲渡を検討する際には、事前に専門家へ相談するなどして、低廉譲渡株式法人税のリスクを十分に検討することが重要です。