株式持ち株比率による企業価値評価分析手法
株式持ち株とは何か
株式持ち株とは、企業が他の企業の株式を保有している状態を指します。これは、企業が事業拡大やリスク分散などを目的として行う投資活動の一環として行われます。株式持ち株は、保有比率によって「支配目的持ち株」「関連会社株式」「純投資目的持ち株」の3つに分類されます。
支配目的持ち株
支配目的持ち株とは、被投資会社の経営に重要な影響力を持つことを目的として保有される株式を指します。具体的には、議決権の過半数を保有している場合や、たとえ過半数に満たない場合でも、取締役の選任や解任に影響力を持つことができる場合などが該当します。支配目的持ち株を持つ企業は、連結財務諸表を作成する義務があり、被投資会社の業績は、投資会社の業績にも大きな影響を与えます。
関連会社株式
関連会社株式とは、被投資会社の経営に重要な影響力を持たないものの、一定の影響力を持つことができる程度の株式を指します。具体的には、議決権の20%以上50%未満を保有している場合などが該当します。関連会社株式を持つ企業は、持分法を適用して財務諸表を作成します。持分法とは、被投資会社の純利益の一定割合を、投資会社の利益として計上する方法です。
純投資目的持ち株
純投資目的持ち株とは、もっぱら投資収益(配当収入や売却益)を目的として保有される株式を指します。具体的には、議決権の20%未満を保有している場合などが該当します。純投資目的持ち株を持つ企業は、被投資会社の業績を連結財務諸表に反映させる必要はありません。ただし、株式の時価が下落した場合には、減損処理が必要となる場合があります。
株式持ち株のメリットとデメリット
株式持ち株には、企業にとって様々なメリットとデメリットがあります。ここでは、代表的なメリットとデメリットをいくつか紹介します。
メリット
1. 事業の多角化
株式持ち株を通じて、異なる業種の企業に投資することで、事業の多角化を図ることができます。これは、特定の事業分野のリスクを分散させ、安定的な収益基盤を築くために有効な手段となります。
2. 新規事業への進出
株式持ち株を通じて、成長が見込まれる新規事業に投資することで、自社単独では難しい新規事業への進出を図ることができます。これは、将来的な収益源の確保や、企業の競争力強化に繋がる可能性があります。
3. グループ企業とのシナジー効果
株式持ち株を通じて、グループ企業との連携を強化することで、シナジー効果を生み出すことができます。例えば、共同で製品開発や販売促進活動を行うことで、コスト削減や売上拡大などの効果が期待できます。
デメリット
1. 投資リスク
株式持ち株は、株式市場の動向に左右されるため、投資リスクが伴います。特に、支配目的持ち株や関連会社株式のように、保有比率の高い株式は、被投資会社の業績悪化の影響を受けやすく、投資損失が発生する可能性も高くなります。
2. 経営の非効率性
株式持ち株を通じて、多くの企業を傘下に収めるようになると、グループ全体の経営が複雑化し、非効率になる可能性があります。これは、意思決定の遅延や、グループ企業間の連携不足などを招き、企業の競争力を低下させる要因となります。
3. 社会的な批判
株式持ち株を通じて、過度に多くの企業を傘下に収めている企業は、市場における競争を阻害しているとして、社会的な批判を受ける可能性があります。これは、企業イメージの低下や、顧客離れに繋がる可能性もあるため、注意が必要です。
株式持ち株の事例
株式持ち株は、多くの企業で活用されている経営戦略の一つです。ここでは、日本企業における株式持ち株の事例をいくつか紹介します。
例えば、トヨタ自動車は、スズキやダイハツ工業などの自動車メーカーの株式を保有しており、これらの企業と連携して、小型車や電気自動車などの開発を進めています。また、ソフトバンクグループは、通信事業だけでなく、インターネット関連企業や投資ファンドなど、多岐にわたる企業の株式を保有しており、積極的に事業ポートフォリオの拡大を図っています。
このように、株式持ち株は、企業が成長戦略を実現するために有効な手段となり得ますが、同時に、投資リスクや経営の非効率性などの課題も抱えています。企業は、株式持ち株のメリットとデメリットを十分に理解した上で、自社の経営戦略に最適な方法で活用していく必要があります。
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