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株式発行差し止め仮処分決定とその企業価値への影響分析

更新:2024-06-08 01:26:18読む:194

株式発行差し止めとは

株式発行差し止めとは、株式会社が新規に株式を発行しようとする行為、または第三者割当増資によって既存株主以外の者に株式を発行しようとする行為に対して、裁判所がその発行を差し止めることを命じる裁判上の制度です。これは、株主総会決議の取消訴訟とは異なり、株主総会決議の効力を争うのではなく、株式発行行為そのものを対象とする点で特徴があります。

株式発行差し止めの要件

株式発行差し止めが認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 発行手続きの違法性または著しい不当性

株式発行の手続きに法律違反がある場合や、会社法の規定する要件を満たしていない場合、発行手続きの違法性が認められます。また、発行手続き自体は適法であっても、発行の目的や方法が著しく不当であると認められる場合にも、この要件が満たされます。

2. 株主の権利を不当に害する可能性

株式発行差し止め

株式発行によって、既存株主の議決権比率の低下や、一株当たりの価値の希薄化など、株主の権利が不当に害される可能性があることが必要です。

3. 緊急性

株式発行を差し止めなければ、株主の権利に回復困難な損害が生じるおそれがあるなど、緊急性を要する場合に認められます。

株式発行差し止めが認められるケース

株式発行差し止めが認められるケースとしては、以下のようなものが挙げられます。

1. 支配権の不当な取得・維持を目的とする場合

特定の株主が自己の支配権を不当に取得・維持するために、議決権比率の低い株式を大量に発行する場合などが該当します。

2. 不当に低い発行価額の場合

市場価格よりも著しく低い価額で株式を発行する場合、既存株主の保有する株式の価値が希薄化されるため、株式発行差し止めが認められる可能性があります。

3. 会社の財産状態に比して過大な発行の場合

会社の財産状態に比して過大な株式を発行する場合、既存株主の利益を不当に害する可能性があるため、株式発行差し止めが認められる可能性があります。

株式発行差し止めの効果

裁判所が株式発行差し止めを認めると、その株式発行は無効となります。

株式発行差し止め請求権者

株式発行差し止めを請求できるのは、株主、取締役、監査役、および会社債権者です。

株式発行差し止めと株主総会決議無効確認訴訟

株式発行差し止めと関連する訴訟として、株主総会決議無効確認訴訟があります。これは、株主総会で決議された株式発行が違法または不当であるとして、その決議の無効を確認する訴訟です。両者の違いは、株式発行差し止めが株式発行行為そのものを対象とするのに対し、株主総会決議無効確認訴訟は株主総会決議の効力を争う点にあります。

株式発行差し止めに関する実務上の留意点

株式発行差し止め

株式発行差し止めは、企業の資金調達や経営に大きな影響を与える可能性があるため、実務上、以下のような点に留意する必要があります。

1. 専門家への相談

株式発行差し止めは、複雑な法的問題を伴うため、弁護士などの専門家に相談することが重要です。

2. 迅速な対応

株式発行差し止めは、緊急性を要する手続きであるため、迅速な対応が必要です。

3. 会社法務の重要性

株式発行差し止めのような事態を避けるためには、日頃から適切な会社法務を行うことが重要です。

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