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株式譲渡承認取締役の決定

更新:2024-06-08 01:02:28読む:151

株式譲渡承認取締役の決定:会社法における承認制度と実務上の留意点

株式会社において、株式は会社の所有と支配の根幹をなすものであり、その譲渡は会社の経営に大きな影響を与える可能性があります。そのため、会社法は、定款で定めることにより、株式の譲渡について取締役会の承認を必要とする旨を定めることを認めています(会社法189条)。この承認を得ずに株式を譲渡した場合、その譲渡は無効となります(会社法194条)。本稿では、株式譲渡承認取締役の決定を中心に、会社法における承認制度と実務上の留意点について解説します。

1. 株式譲渡承認取締役の決定とは

株式譲渡承認取締役の決定とは、会社法189条に基づき、定款で株式の譲渡について取締役会の承認を必要とする旨が定められている場合に、取締役会が株式譲渡について承認を与えるか否かを決定することをいいます。この決定は、株主総会の決議ではなく、取締役会の決議として行われます。取締役会は、会社法上の機関の一つであり、会社の業務執行を決定する機関です(会社法32条)。

2. 承認制度の趣旨

株式譲渡承認制度は、会社の経営の安定と株主の利益保護を図ることを目的としています。株式が自由に譲渡されると、会社の経営方針にそぐわない株主が多数派となる可能性や、敵対的な買収の対象となる可能性もあります。このような事態を避けるため、会社法は、定款で定めることにより、株式の譲渡について取締役会の承認を必要とする旨を定めることを認めているのです。

3. 承認基準

取締役会は、株式譲渡の承認請求があった場合、会社の経営に与える影響などを総合的に判断して、承認するかどうかを決定します。具体的な承認基準は、会社法上明文で定められていませんが、判例や実務上、以下の点が考慮要素として挙げられます。

譲渡人の属性(競合他社の関係者かどうかなど)

譲受人の属性(反社会的勢力との関係など)

譲渡価格の妥当性

譲渡後の会社の経営への影響

取締役会は、これらの要素を総合的に考慮して、会社の利益に合致するかどうかを判断し、株式譲渡承認取締役の決定を行います。

4. 承認拒否

株式譲渡

取締役会は、承認基準を満たさない株式譲渡について、その承認を拒否することができます。ただし、承認拒否は、正当な理由に基づいて行われなければなりません。そうでなければ、株主から、承認拒否の取消しを求める訴訟を提起される可能性があります。承認拒否の理由としては、例えば、譲受人が反社会的勢力と関係がある場合や、譲渡価格が著しく不当な場合などが考えられます。

5. 実務上の留意点

株式譲渡承認条項を定款に定めている会社は、実務上、以下の点に留意する必要があります。

承認基準を明確化しておくこと

承認手続きを整備しておくこと

承認拒否をする場合には、その理由を文書で通知すること

これらの点を押さえておくことで、後々の紛争を予防することができます。また、株式譲渡承認取締役の決定は、会社の重要な意思決定の一つであるため、議事録を作成し、その内容を明確にしておくことが重要です。

6. まとめ

株式譲渡承認取締役の決定は、会社の経営に大きな影響を与える可能性があるため、慎重に行う必要があります。取締役会は、会社法の規定や判例、実務上の留意点を踏まえ、会社の利益を最大限に考慮して、承認するかどうかを決定しなければなりません。

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