拒否権付株式発行

拒否権付株式とは

拒否権付株式とは、特定の事項について株主が議決権を行使する際に、一定の割合以上の賛成票が必要となる株式のことです。この一定の割合は、拒否権付株式の定款に定められます。

拒否権付株式は、特定の事項について株主の過半数の賛成だけでは議決が成立しないようにするために発行されます。これにより、少数派の株主の権利が保護されることになります。

拒否権付株式の発行目的

拒否権付株式が発行される目的は、主に以下の通りです。

• 少数派株主の権利保護
• 経営陣の独断専行の防止
• 特定の事項について慎重な意思決定を促す

拒否権付株式の発行要件

拒否権付株式を発行するには、以下の要件を満たす必要があります。

• 定款に拒否権付株式の発行に関する規定を設けること
• 拒否権付株式の発行総数を発行済株式総数の一定割合以内に抑えること
• 拒否権付株式の議決権行使に必要な賛成票の割合を定款に定めること

拒否権付株式の議決権行使

拒否権付株式の議決権行使は、定款に定められた賛成票の割合を満たした場合にのみ有効となります。この賛成票の割合は、通常、過半数よりも高い割合に設定されます。

拒否権付株式の議決権行使が必要となる事項は、定款に定められます。一般的な事項としては、以下の通りです。

• 合併
• 株式の発行
• 取締役の選任・解任
• 定款の変更

拒否権付株式のメリット

拒否権付株式を発行することには、以下のようなメリットがあります。

• 少数派株主の権利保護
• 経営陣の独断専行の防止
• 特定の事項について慎重な意思決定を促す
• 企業の安定性の向上

拒否権付株式のデメリット

拒否権付株式を発行することには、以下のようなデメリットもあります。

• 意思決定の遅延
• 経営の柔軟性の低下
• 少数派株主の利益を優先しすぎる可能性

拒否権付株式の活用

拒否権付株式は、企業のガバナンスを強化し、少数派株主の権利を保護するために有効な手段です。ただし、拒否権付株式の発行にはメリットとデメリットがあるため、発行の可否については慎重に検討する必要があります。

拒否権付株式の事例

拒否権付株式が発行されている企業の事例を以下に示します。

• トヨタ自動車
• ソニー
• ホンダ
• 日産自動車

拒否権付株式の動向

近年、拒否権付株式の発行は減少傾向にあります。これは、企業がガバナンスを強化するために他の手段を採用しているためです。しかし、少数派株主の権利保護の観点から、拒否権付株式は依然として重要な役割を果たしています。

拒否権付株式の今後

拒否権付株式は、今後も企業のガバナンスにおいて重要な役割を果たすと考えられます。ただし、企業がガバナンスを強化するための他の手段を模索しているため、拒否権付株式の発行は減少傾向が続くと予想されます。