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調整局面におけるバリュー株投資戦略分析

更新:2024-06-15 03:36:48読む:176

調整意味株式とは

株式会社法において、資本金の額を変更することを「減資」と「増資」に大別することができます。減資は、企業の財産内容を現在の経済状況に合わせてスリム化する際に有効な手段となり、債務超過の改善などを目的として行われます。一方、増資は、事業拡大など将来に向けた投資を行うために必要な資金を調達することを目的として行われます。

そして、この減資と増資を同時に行うことを「資本金数の変更を伴わない資本減少」と言い、会社法447条で規定されています。一般的には、資本金の一部を減資して株主へと払い戻し、それと同時にその払い戻した金額と同額を増資する、という流れで行われます。

この資本金数の変更を伴わない資本減少を行う際に発行される株式のことを、調整意味株式と言います。

調整意味株式を発行する目的

では、企業はなぜ調整意味株式を発行するのでしょうか?それは、企業が抱える資本政策上の課題を解決するためです。

例えば、企業が長年に渡り安定した経営を続けていると、内部留保が積み上がっていくことになります。しかし、内部留保が積み上がりすぎると、ROE(自己資本利益率)が低下する要因となってしまう可能性があります。ROEとは、企業がどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標の一つであるため、投資家から見ると魅力的な投資先とは言えなくなってしまいます。

また、企業が銀行から融資を受ける際にも、過剰な内部留保は悪影響を及ぼす可能性があります。銀行は、企業の返済能力を評価して融資を行いますが、内部留保が積み上がっているにも関わらず、新たな融資を申し込んできた場合、企業の財務戦略に疑問を抱く可能性があります。

そこで、調整意味株式を発行することにより、企業は内部留保を株主へと還元することができます。そして、同時に増資を行うことで、将来の事業展開に必要な資金を調達することが可能となります。

調整意味株式発行のメリット・デメリット

企業側のメリット

資本効率の向上

株主への利益還元

財務体質の改善

資金調達の柔軟性向上

企業側のデメリット

手続きが煩雑

コストがかかる

株価の変動リスク

株主側のメリット

配当金の増加

株価上昇の可能性

株主側のデメリット

株式価値の希薄化

株価下落の可能性

調整意味株式と種類株式

調整意味株式と混同されがちなものに、種類株式があります。種類株式とは、株主総会の議決権や配当金の受け取りなどについて、通常の株式とは異なる権利を付与した株式のことです。

調整意味株式

調整意味株式は、あくまで資本政策上の調整を目的として発行される株式であり、種類株式のように特別な権利が付与されるわけではありません。そのため、株主総会における議決権や配当金の受け取りについては、他の普通株式と同様に取り扱われます。

調整意味株式発行の事例

過去には、ソフトバンクグループやファーストリテイリングなど、日本を代表する大企業が調整意味株式を発行しています。これらの企業は、いずれも巨額の内部留保を抱えており、資本効率の改善や株主還元の強化を目的として、調整意味株式の発行に踏み切っています。

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