株式不正会計内部統制実態調査委員会報告書

株式不正とは何か

株式不正とは、証券市場において、公正な価格形成を阻害し、投資家の利益を損なうような不正行為を指します。具体的には、インサイダー取引、相場操縦、風説の流布、粉飾決算など、様々な行為が含まれます。これらの行為は、証券取引法をはじめとする法律によって厳しく禁じられており、違反した場合には、刑事罰や行政処分、損害賠償責任などの厳しいペナルティが科せられます。

株式不正の類型

株式不正には、様々な類型が存在しますが、代表的なものとしては、以下のようなものがあります。

1. インサイダー取引

インサイダー取引とは、上場企業の役員や従業員など、内部情報にアクセスできる立場にある者が、その情報が公表される前に、自己または第三者の利益のために株式を売買する行為を指します。内部情報とは、一般に公開されていない、重要な会社情報であり、もし公表されれば、株価に大きな影響を与える可能性のある情報です。例えば、大型の新規事業の開始、巨額の赤字予想、経営統合の交渉などがあります。

2. 相場操縦

相場操縦とは、意図的に、虚偽の情報を流したり、大量の売買注文を出したりするなどして、特定の銘柄の株価を操作する行為を指します。相場操縦は、市場の公正性を著しく損なう行為であり、投資家の投資判断を誤らせることから、厳しく規制されています。

3. 風説の流布

風説の流布とは、根拠のない情報や、事実を歪曲した情報を広めることによって、特定の銘柄の株価を操作する行為を指します。インターネットやSNSの普及により、風説の流布は容易になり、その影響力は増大しています。風説を流布した者だけでなく、それを知っていても、それを利用して株式を売買した者も、処罰の対象となります。

4. 粉飾決算

粉飾決算とは、企業が、実際よりも業績を良く見せかけるために、決算書類を不正に操作する行為を指します。粉飾決算は、投資家を欺き、不正な利益を得ることを目的として行われることが多く、悪質な株式不正の一つと言えます。

株式不正の防止に向けた取り組み

株式不正を防止するためには、企業、投資家、そして行政のそれぞれが、積極的に取り組む必要があります。

1. 企業の取り組み

企業は、内部統制システムを構築し、インサイダー取引や粉飾決算などの不正行為を未然に防ぐ必要があります。また、従業員に対して、コンプライアンス意識の向上を図るための研修などを実施することも重要です。

2. 投資家の取り組み

投資家は、投資判断を行う際には、企業の財務状況や業績だけでなく、ガバナンス体制やコンプライアンスに関する情報も収集し、総合的に判断する必要があります。また、不審な情報に惑わされず、冷静な投資判断を行うことが重要です。

3. 行政の取り組み

行政は、証券取引法などの法令を整備し、株式不正に対する厳正な取締りを行う必要があります。また、投資家に対して、株式投資に関する正しい知識の普及啓発活動を行うことも重要です。

まとめ

株式不正は、市場の公正性を損ない、投資家の利益を著しく害する行為です。その防止のためには、企業、投資家、行政が一体となって取り組む必要があります。