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株式処分禁止仮処分決定執行停止申立却下事例研究

更新:2024-06-08 03:25:12読む:62

株式処分禁止の仮処分とは

株式処分禁止の仮処分とは、会社法上の紛争において、当事者の一方の処分行為によって株式に関する権利関係が変更され、将来の判決の実効性を危うくする可能性がある場合に、裁判所が緊急の必要性に基づき、その株式の処分を一時的に禁止する手続きを指します。これは、民事保全法に基づく仮処分の一種であり、将来の権利実現を確保するための暫定的な措置です。

仮処分の対象となる株式

株式処分禁止の仮処分の対象となる株式は、原則として、当事者間に係争が存在する株式です。具体的には、株主総会決議の取消しや無効の訴え、株式の譲渡制限違反を理由とする株式買取請求訴訟などが挙げられます。これらの訴訟において、仮に係争中の株式が自由に処分されてしまうと、判決が出てもその内容を実現することが困難になる可能性があります。例えば、株主総会決議の取消しを求める訴訟を起こしている間に、相手方がその株式を第三者に譲渡してしまうと、たとえ勝訴判決を得ても、その効力は新たな株主に対して及ばないことになります。

仮処分の要件

株式処分禁止の仮処分

株式処分禁止の仮処分を得るためには、以下の要件を満たす必要があります。

株式処分禁止の仮処分

1. 被保全権利の存在

まず、保全を求める権利、すなわち「被保全権利」の存在が認められる必要があります。具体的には、株主総会決議取消請求権や株式買取請求権など、将来の判決で認められる可能性のある権利が該当します。この権利の存在については、疎明が求められますが、必ずしも高度の証明は必要とされず、 prima facie の証明で十分とされています。

2. 保全の必要性

次に、仮処分を講じなければ、権利の実現が困難になるという「保全の必要性」が認められる必要があります。具体的には、株式が処分されることで、将来の判決の実効性が失われる蓋然性が高い場合などが該当します。例えば、相手方が株式の処分を検討していることを示す具体的な証拠があれば、保全の必要性が認められる可能性が高まります。

3. 担保の提供

株式処分禁止の仮処分は、相手方の財産処分を制限する強力な効力を持つため、仮処分を申し立てる側には、一定の担保を提供することが義務付けられています。これは、仮処分が後に取り消された場合などに、相手方が被った損害を担保するためです。担保の金額は、裁判所がケースバイケースで判断します。

仮処分の効果と解除

株式処分禁止の仮処分が認められると、その決定が相手方に送達された時点から、株式の処分が禁止されます。具体的には、譲渡、質入れ、その他の処分行為が一切禁止されます。仮処分に違反して株式を処分した場合、その処分は無効となる可能性があります。ただし、仮処分はあくまで暫定的な措置であるため、本案の判決が出るまでの間のみ有効です。本案で請求が認められれば、仮処分はそのまま本案の効力として継続しますが、請求が棄却された場合には、仮処分は当然に失効します。また、仮処分の決定後、事情が変化した場合には、相手方は仮処分の異議や取消しを申し立てることができます。

まとめ

株式処分禁止の仮処分は、会社法上の紛争において、将来の権利実現を確保するために重要な役割を果たす制度です。仮処分の申立てを検討する際には、弁護士などの専門家に相談し、適切な対応をとることが重要です。

株式処分禁止の仮処分

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