株式増し担保設定による信用取引リスク管理強化策

株式増し担保とは

株式増し担保とは、金融機関からの融資を受ける際に、借入企業が保有する株式を担保として提供することを指します。具体的には、融資契約締結時に、借入企業は保有する自己株式や関連会社の株式を金融機関に担保として提供します。そして、融資の返済が滞った場合、金融機関は担保として提供された株式を売却し、その売却代金を融資の返済に充当する権利を持つことになります。

株式増し担保のメリット

株式増し担保は、借入企業と金融機関の双方にとってメリットがあります。

借入企業側のメリット

借入企業にとっての最大のメリットは、融資を受けやすくなることです。特に、創業間もない企業や業績が不安定な企業は、十分な担保を提供することが難しい場合があり、融資を受けることが困難な場合があります。しかし、株式増し担保を利用することで、無担保融資よりも低い金利で融資を受けられる可能性が高まります。また、担保提供によって信用力が向上し、より多額の融資を受けられる可能性もあります。

金融機関側のメリット

金融機関にとってのメリットは、融資のリスクを軽減できることです。融資は、借入企業が返済不能に陥った場合、貸し倒れリスクが発生します。しかし、株式増し担保を設定することで、万が一、借入企業が返済不能に陥った場合でも、担保として提供された株式を売却することで、融資資金を回収できる可能性が高まります。

株式増し担保の利用シーン

株式増し担保は、以下のようなシーンで利用されることがあります。

新規事業の立ち上げ資金

新規事業の立ち上げには、多額の資金が必要となります。しかし、新規事業は実績がないため、金融機関からの融資を受けることが難しい場合もあります。そこで、株式増し担保を利用することで、金融機関からの融資を受けやすくすることができます。

設備投資資金

企業が成長するためには、設備投資が欠かせません。しかし、設備投資には多額の資金が必要となるため、自己資金だけでは賄えない場合もあります。そこで、株式増し担保を利用することで、金融機関から設備投資資金を調達することができます。

運転資金の調達

企業は、日々の事業活動を行うために、運転資金を必要とします。しかし、売掛金の回収が遅れたり、急な支出が発生したりするなど、運転資金が不足してしまうことがあります。そこで、株式増し担保を利用することで、金融機関から運転資金を調達することができます。

株式増し担保のリスク

株式増し担保は、借入企業にとってメリットの大きい資金調達方法ですが、一方でリスクも存在します。

株式の支配権を失うリスク

株式増し担保を設定した場合、融資の返済が滞ると、担保として提供した株式を金融機関に取得されてしまう可能性があります。そのため、経営権を失ってしまうリスクがあります。

株式価値の下落リスク

担保として提供した株式の価値が下落した場合、追加の担保提供を求められることがあります。また、株式価値の下落によって、融資の条件が悪化する可能性もあります。

株式増し担保に関する注意点

株式増し担保を利用する際には、以下の点に注意する必要があります。

契約内容の確認

株式増し担保を設定する際には、金融機関との契約内容をしっかりと確認することが重要です。特に、担保評価額、担保評価方法、担保権の実行条件などを確認しておく必要があります。

専門家への相談

株式増し担保は、複雑な金融取引です。そのため、金融機関や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

株式増し担保は、企業にとって有効な資金調達手段の一つですが、リスクも存在します。利用する際には、メリットとデメリットを理解した上で、慎重に検討する必要があります。