株式取得償却

株式取得償却とは

株式取得償却とは、企業が自社株式を取得した場合に、その取得価額を一定期間にわたって費用として計上する会計処理のことです。自社株式の取得は、自社株買いとも呼ばれ、企業が自社の株式を市場から買い戻すことを指します。

株式取得償却の目的

株式取得償却の主な目的は、自社株式の取得による資本金の減少を帳簿上でも反映させることです。自社株式の取得により資本金が減少すると、株主資本比率が低下し、財務内容が悪化します。株式取得償却を行うことで、この財務内容の悪化を緩和することができます。

株式取得償却の方法

株式取得償却の方法には、以下の2種類があります。

均等償却法

取得価額を一定期間（通常は5年）にわたって均等に費用として計上する方法です。

段階償却法

取得価額を、取得後最初の年に最も多く費用として計上し、その後徐々に費用計上額を減らしていく方法です。

株式取得償却の会計処理

株式取得償却の会計処理は、以下のようになります。

借方：損益計算書（費用）

貸方：自己株式取得差額勘定

自己株式取得差額勘定は、貸借対照表のその他の資本剰余金に含まれます。

株式取得償却の税務上の取扱い

株式取得償却は、税務上は損金として認められません。そのため、株式取得償却を行った場合、税務上の利益は増加します。

株式取得償却のメリット・デメリット

株式取得償却には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

財務内容の改善

株主還元の手段

経営権の安定化

デメリット

費用負担の増加

税務上の不利益

株式取得償却の事例

株式取得償却の事例として、以下のようなものがあります。

企業が自社株買いを行い、取得した株式を消却した場合

企業が自社株買いを行い、取得した株式を保有した場合

企業が自社株買いを行い、取得した株式を第三者に譲渡した場合

株式取得償却に関する留意点

株式取得償却を行う際には、以下の点に留意する必要があります。

償却期間は、企業の財務状況や事業内容を考慮して適切に設定する必要があります。

償却方法の選択は、企業の財務戦略や税務上の影響を考慮して行う必要があります。

株式取得償却は、財務内容の改善や株主還元の手段として有効ですが、費用負担の増加や税務上の不利益を考慮する必要があります。