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株式実質所得者課税と租税回避防止策の研究

更新:2024-06-08 02:29:33読む:196

株式実質所得者とは

「株式実質所得者」とは、法人税法上の概念であり、特定の個人株主が、実質的にその会社の議決権の過半数を所有し、その会社の経営を支配していると認められる場合に、その個人株主を指します。具体的には、以下のいずれかの要件を満たす個人株主が、株式実質所得者とみなされます。

株式実質所得者の判定基準

株式実質所得者

株式実質所得者

1. その会社の議決権の過半数を所有している個人株主

2. その会社の議決権の3分の2以上を所有し、かつ、その会社の総株主の議決権の10分の1以上を所有している個人株主

3. その会社の議決権の過半数を所有する他の個人株主と共同して、その会社の経営を支配していると認められる個人株主

株式実質所得者課税制度の目的

株式実質所得者課税制度は、このような支配力を持つ個人株主が、会社から配当などの利益を享受する際に、その利益に対して適切な課税を行うことを目的としています。具体的には、株式実質所得者が会社から受け取る配当などを、給与所得などの他の所得と合算して総合課税することで、税負担の公平化を図っています。

株式実質所得者となることによる影響

個人株主が株式実質所得者とみなされると、以下のような影響があります。

1. 配当所得への課税

株式実質所得者が会社から受け取る配当は、原則として総合課税の対象となり、他の所得と合算して税率が決定されます。これは、通常の個人株主が受け取る配当が、分離課税の対象となる場合があるのとは異なります。

2. 贈与税・相続税への影響

株式実質所得者が保有する株式の評価額は、原則として時価評価となります。これは、通常の個人株主が保有する株式の評価額が、相続税法上の特例評価の対象となる場合があるのとは異なります。時価評価となることで、贈与税や相続税の負担が大きくなる可能性があります。

株式実質所得者となることのメリット・デメリット

メリット

株式実質所得者となることのメリットは、会社経営に対する影響力が強い点です。議決権の過半数を所有することで、会社の重要な意思決定に大きな影響を与えることができます。また、経営方針に自分の意見を反映させやすくなるため、会社を自分の思い通りに動かしたいと考える個人株主にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。

デメリット

一方、デメリットとしては、税負担が大きくなる可能性がある点が挙げられます。配当所得が総合課税の対象となるため、他の所得が多い場合には、税率が高くなる可能性があります。また、贈与税や相続税の計算においても、株式の評価額が時価評価となるため、税負担が大きくなる可能性があります。さらに、会社経営がうまくいかなかった場合、個人資産への影響が大きくなるというリスクも抱えています。

株式実質所得者に関する留意点

株式実質所得者となるかどうかは、株式の保有状況だけでなく、会社の具体的な状況や株主間の関係性などを総合的に判断して決定されます。そのため、自分が株式実質所得者に該当するかどうか不安な場合には、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、適切な対策を講じることができ、税負担の軽減やリスクヘッジにつなげることができるでしょう。

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