adr株価とは

ADR株価とは何か？

ADR株価とは、簡単に言えば、外国企業の株式を米ドル建てで取引できるようにした証券のことです。ADRは「American Depositary Receipt」の略称で、日本語では「米国預託証券」と訳されます。

ADRの仕組み

例えば、日本のA社の株式をアメリカで取引したいとします。しかし、アメリカの証券取引所では、原則として日本円建ての株式は取引できません。そこで、ADRが登場します。アメリカの銀行がA社の株式を預託し、その預託証券を発行します。これがADRです。投資家は、このADRを購入することで、間接的にA社の株式に投資することができます。ADRは米ドル建てで取引されるため、アメリカの投資家は円/ドルの為替リスクを負うことなく、A社の株式に投資することができます。

ADRのメリット

ADRのメリットは、アメリカの投資家にとって、外国企業の株式への投資が容易になることです。前述の通り、ADRは米ドル建てで取引されるため、為替リスクを負うことなく外国企業に投資することができます。また、ADRはアメリカの証券取引所の規則に従って発行されるため、アメリカの投資家にとって安心感があります。

ADRの種類

ADRには、大きく分けて3つの種類があります。

1. レベル1 ADR

レベル1 ADRは、最も発行要件が緩いADRです。発行企業は、アメリカの証券取引委員会（SEC）への登録が免除されます。ただし、取引は店頭市場に限定されます。

2. レベル2 ADR

レベル2 ADRは、SECへの登録が義務付けられています。また、発行企業は、一定の財務情報を開示する必要があります。レベル2 ADRは、ニューヨーク証券取引所（NYSE）やナスダック市場などの主要な証券取引所に上場することができます。

3. レベル3 ADR

レベル3 ADRは、発行企業が新規に株式を発行し、それをADRとしてアメリカ市場で募集・販売するものです。レベル3 ADRは、SECへの登録が義務付けられており、厳しい開示要件が課せられます。

ADR投資の注意点

ADRは便利な投資手段ですが、いくつか注意点があります。

1. 為替リスク

ADRは米ドル建てで取引されますが、原資産は外国通貨建てです。そのため、為替変動の影響を受ける可能性があります。例えば、円高になると、ADR株価とは下落する可能性があります。

2. 流動性リスク

ADRの中には、取引量が少なく、流動性が低いものがあります。流動性が低いADRに投資する場合には、売却時に希望する価格で売却できない可能性があります。

3. 発行企業のリスク

ADRは、あくまでも原資産である外国企業の株式の価格に連動します。そのため、発行企業の業績が悪化した場合、ADR株価とは下落する可能性があります。

ADRと日本株投資

日本の投資家にとって、ADRは日本株投資の選択肢の一つとなります。アメリカの市場は、日本市場よりも規模が大きく、流動性も高いため、ADRを通じて日本株に投資することで、より有利な条件で取引できる可能性があります。また、ADRは米ドル建てで取引されるため、円安時に投資することで、為替差益を狙うこともできます。

まとめ

ADRは、外国企業の株式に投資するための便利な手段です。しかし、投資する前には、為替リスクや流動性リスク、発行企業のリスクなど、注意すべき点があることを理解しておく必要があります。