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被合併法人株式評価損と個別財務諸表における表示方法

更新:2024-06-15 03:40:47読む:148

被合併法人株式評価損の概要

被合併法人株式評価損とは、合併の際に、合併法人(存続会社または新設会社)が、被合併法人(消滅会社)の株式を帳簿価額よりも低い価額で評価した場合に計上される会計上の損失です。合併は、企業が経営資源の効率化や事業シナジーの創出などを目的として行われる経営戦略の一つですが、その過程で被合併法人株式評価損が発生することがあります。本稿では、被合併法人株式評価損の発生要因、会計処理、税務上の取扱いについて詳しく解説するとともに、企業が合併を行う際の留意点についても考察していきます。

被合併法人株式評価損が発生する理由

被合併法人株式評価損が発生する主な理由としては、以下の点が挙げられます。

1. 純資産価額の差

合併法人と被合併法人の間で、純資産価額に差がある場合、その差額が被合併法人株式評価損として計上されます。例えば、被合併法人の資産に簿価よりも市場価値の低い不動産が含まれている場合や、多額の債務を抱えている場合に、この差額が発生する可能性が高くなります。

2. 事業価値の評価

合併は、単なる資産の取得ではなく、被合併法人の事業全体を取得することを目的としています。そのため、会計上は、被合併法人の事業価値を評価し、その対価を支払う必要があります。この事業価値の評価が、合併法人が予想する将来の収益性や成長性などを反映して、被合併法人の純資産価額を上回る場合もあれば、下回る場合もあります。後者の場合に、被合併法人株式評価損が発生します。

3. 交渉による調整

被合併法人株式評価損

合併は、合併法人と被合併法人の間で、様々な条件を交渉した上で成立します。その過程で、合併比率や対価の支払い方法などが調整され、結果として、被合併法人株式評価損が発生するケースもあります。例えば、合併比率を被合併法人側に有利なように設定することで、被合併法人の株主に対する経済的な配慮を行う代わりに、合併法人は被合併法人株式評価損を計上することがあります。

被合併法人株式評価損の会計処理

合併法人における被合併法人株式評価損の会計処理は、企業会計基準委員会が公表している「企業結合会計基準」に基づいて行われます。具体的には、被合併法人株式評価損は、以下の手順で処理されます。

1.

まず、合併差額を算定します。合併差額とは、合併対価の公正価値と被合併法人純資産の時価評価額との差額を指します。

2.

次に、この合併差額を、識別可能な資産・負債の公正価値との差額に配分します。具体的には、固定資産、投資有価証券、のれんといった識別可能な資産・負債を時価評価し、その差額を算定します。

3.

最後に、識別可能な資産・負債への配分後もなお残存する合併差額を、被合併法人株式評価損として計上します。

被合併法人株式評価損は、発生時に原則として一括して損益計算書に計上されます。ただし、一定の要件を満たす場合には、貸借対照表の純資産の部に計上し、その後一定の年数をかけて償却することも認められています。

被合併法人株式評価損の税務上の取扱い

税務上、被合併法人株式評価損は、会計処理とは異なる取扱いを受けることがあります。法人税法上、被合併法人株式評価損は、原則として益金不算入となります。つまり、税務上の利益計算においては、被合併法人株式評価損は考慮されません。ただし、一定の要件を満たす場合には、損金算入が認められることもあります。具体的には、以下の要件をすべて満たす必要があります。

1.

被合併法人が、合併の日の前日において、法人税法上の欠損金を有していること

2.

合併が、事業の合理化等を図ることを目的として行われるものであること

3.

その他の一定の要件を満たしていること

これらの要件を満たさない場合には、被合併法人株式評価損は損金算入とならず、税務上の利益が増加することになります。そのため、企業は、合併を行う前に、税務上の取扱いについても事前に十分検討しておく必要があります。

企業が合併を行う際の留意点

企業が合併を行う際には、被合併法人株式評価損を含め、様々な会計上および税務上の論点について注意する必要があります。特に重要な点は、以下の通りです。

1.

被合併法人株式評価損

合併の目的を明確化し、その目的に合致したスキームを検討すること

2.

被合併法人の事業価値を適正に評価すること

3.

会計処理および税務上の取扱いについて、事前に専門家に相談すること

合併は、企業にとって重要な経営戦略の一つですが、同時に複雑な手続きを伴います。そのため、企業は、合併を行う前に、専門家のアドバイスを受けながら、綿密な計画を立てることが重要です。

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