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株式売り渡し請求権行使後の価格決定手続き

更新:2024-06-08 03:12:44読む:65

株式売り渡し追加請求権行使の概要

株式売り渡し追加請求権行使とは、会社法において、株式の譲渡等に関する承認請求権を行使した株主が、当該承認請求権の対象となった株式の全部を取得した場合において、当該株式の譲渡等に反対する他の株主に対して、その保有する株式を会社に売り渡すことを請求できる権利をいう(会社法166条1項)。

本稿では、株式売り渡し追加請求権行使の要件、効果、手続等について解説する。

株式売り渡し追加請求権行使の要件

株式売り渡し追加請求権行使の要件は以下のとおりである。

1. 株式の譲渡等に関する承認請求権の行使

まず、株式売り渡し追加請求権行使の前提として、株式の譲渡等に関する承認請求権が有効に行使されている必要がある。承認請求権の対象となる株式の範囲は、原則として、承認請求権の行使の際に譲渡等の対象とされた株式と同一である。

2. 承認請求権の対象となった株式の全部の取得

承認請求権を行使した株主は、当該承認請求権の対象となった株式の全部を取得しなければならない。一部取得の場合は、株式売り渡し追加請求権行使は認められない。

3. 株式の譲渡等に反対する株主の存在

株式売り渡し追加請求権行使の相手方は、株式の譲渡等に反対する株主である。反対株主が存在しない場合は、株式売り渡し追加請求権行使は認められない。

株式売り渡し追加請求権行使の効果

株式売り渡し追加請求権行使がなされると、反対株主は、その保有する株式を会社に売り渡さなければならない。売渡価格は、原則として、裁判所が決定する(会社法168条)。

株式売り渡し追加請求権行使の手続

株式売り渡し追加請求権行使の手続は以下のとおりである。

1. 請求書の提出

株式売り渡し追加請求権行使をしようとする株主は、反対株主に対し、請求書を提出しなければならない。請求書には、売渡請求をする株式の数、売渡価格等を記載する必要がある。

2. 裁判所の決定

反対株主が請求書の内容に同意しない場合は、請求権者または反対株主は、裁判所に対し、売渡価格等の決定を求めることができる。

3. 株式の譲渡

裁判所が売渡価格等を決定した場合、反対株主は、当該決定に基づき、株式を会社に譲渡しなければならない。

株式売り渡し追加請求権行使の意義

株式売り渡し追加請求権行使は、株式の譲渡等に関する承認請求権と密接に関連する制度である。承認請求権の行使によって、株主は、自己に不利な株式の譲渡等を阻止することができるが、反対株主が残存することになるため、会社経営の安定性が損なわれる可能性がある。そこで、株式売り渡し追加請求権行使を認めることによって、承認請求権の行使によって取得した株式と併せて、反対株主の株式も取得することを可能とし、会社経営の安定化を図ろうとするのが、本制度の趣旨である。

株式売り渡し追加請求権行使の実務上の留意点

株式売り渡し追加請求権行使の実務上、以下の点に留意する必要がある。

1. 請求期限

株式売り渡し追加請求権行使

株式売り渡し追加請求権行使には、請求期限が設けられている。請求期限は、原則として、承認請求権の対象となった株式の全部を取得した日から6か月以内である(会社法166条3項)。

2. 売渡価格

売渡価格は、原則として、裁判所が決定するが、当事者間で協議が整えば、協議で定めることもできる。売渡価格の決定に当たっては、裁判所は、会社の財産状況、収益力、配当状況等を総合的に考慮する。

3. 費用負担

株式売り渡し追加請求権行使の手続にかかる費用は、原則として、請求権者が負担する。ただし、裁判所は、事件の性質、当事者の資力等を考慮して、費用負担を公平に定めることができる。

株式売り渡し追加請求権行使は、会社法上の重要な制度の一つであり、実務上も頻繁に利用されている。本稿が、株式売り渡し追加請求権行使に関する理解を深める一助となれば幸いである。

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