海外株式贈与における税務上の留意点と対策

株式贈与における海外株式の取り扱い

近年、資産形成の一環として海外投資への関心が高まっています。特に、米国株式など、成長性の高い市場への投資は人気を集めています。しかし、海外株式への投資は、国内株式への投資と比較して、税金や手続きの面で複雑な側面も持ち合わせています。その中でも、株式贈与海外株式は、贈与税や所得税など、注意すべき点がいくつか存在します。

株式贈与と贈与税の基本

株式贈与とは、その名の通り、株式を無償で贈与することを指します。贈与を受けた側には贈与税が発生しますが、贈与税には基礎控除があり、年間110万円までは非課税となります。つまり、110万円を超える価値のある株式を贈与した場合にのみ、贈与税の対象となります。

海外株式贈与における評価方法

株式贈与海外株式の場合、贈与税の計算上、重要なのは株式の評価です。国内株式であれば、原則として贈与日の終値を基準に評価しますが、海外株式の場合は、国税庁が公表する「外国証券取引所の公表価格等」に基づいて評価を行います。この公表価格は、原則として贈与日の直前の取引日の終値となります。

為替レートの影響

海外株式を贈与する際には、為替レートの影響も考慮する必要があります。贈与税の計算では、贈与日の為替レートで円換算した金額に基づいて評価が行われます。そのため、円高時に贈与を行った方が、円安時に贈与を行うよりも、贈与税の負担が軽くなる可能性があります。

贈与後の譲渡益と所得税

贈与を受けた海外株式を将来的に売却した場合、売却益（譲渡益）に対して所得税が発生します。この時、取得価額は、贈与時の価額ではなく、贈与者が当初取得した時の価額が引き継がれます。そのため、贈与時に既に値上がりしている株式を贈与した場合、贈与を受けた側が売却する際に多額の所得税が発生する可能性があります。

海外株式贈与の注意点

株式贈与海外株式を行うにあたっては、上記以外にも、以下のような点に注意が必要です。

贈与税の申告：贈与税の申告は、贈与を受けた側が行います。申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。

海外財産調書の提出：海外にある財産の価額の合計額が5,000万円を超える場合、贈与を受けた側は、翌年3月15日までに「海外財産調書」を税務署に提出する必要があります。

外国税額控除：贈与を受けた海外株式に関して、外国で税金が課された場合、一定の要件を満たせば、日本の贈与税から外国で納めた税金の一部を控除することができます。これを外国税額控除といいます。

専門家への相談

株式贈与海外株式は、贈与税や所得税、為替、海外財産に関する手続きなど、複雑な要素が絡み合っています。そのため、専門家である税理士やファイナンシャルプランナーに相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。専門家の助言を得ることで、思わぬ税負担や手続きの煩雑さを避けることができるでしょう。