株式交付費発生ストックオプション行使時会計処理実務

株式交付費ストックオプションの概要

株式交付費ストックオプションとは、従業員等に対して、将来の一定期間内に、あらかじめ定められた価格（権利行使価格）で自社株を取得する権利（ストックオプション）を付与する報酬制度です。従業員は、権利行使期間中に権利行使価格で株式を取得し、市場価格で売却することで利益を得ることができます。

株式交付費ストックオプションの会計処理

従来、日本基準では、株式交付費ストックオプションは、権利付与時に費用計上する必要がなく、権利行使時に初めて費用計上する会計処理が一般的でした。しかし、国際会計基準との整合性を図るため、2009年4月以降開始事業年度から、権利付与日から権利行使日までの期間にわたって費用計上する会計処理が導入されました。

費用計上の方法

費用計上の方法は、ブラック・ショールズ・モデルなどのオプション評価モデルを用いて算定した株式交付費ストックオプションの公正価値を、権利付与日から権利行使日までの期間にわたって、一定の方法で配分する方法が一般的です。

株式交付費ストックオプション導入のメリット

株式交付費ストックオプションを導入するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

従業員のモチベーション向上

従業員は、自社の業績向上に貢献することで、株式交付費ストックオプションの価値が上昇し、権利行使によって利益を得られる可能性が高まります。そのため、従業員のモチベーション向上や、優秀な人材の確保・定着に繋がる可能性があります。

人件費の抑制

株式交付費ストックオプションは、権利行使時に初めて費用計上されるため、短期的には人件費を抑制する効果があります。また、業績連動型の報酬制度であるため、業績が悪化した場合には、人件費を抑制する効果も期待できます。

株式交付費ストックオプション導入のデメリット

一方、株式交付費ストックオプションを導入するデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

会計処理の複雑化

株式交付費ストックオプションの会計処理は複雑であり、専門的な知識が必要となります。そのため、導入に当たっては、専門家のアドバイスを受けるなど、適切な対応が必要となります。

株価下落リスク

従業員は、株式交付費ストックオプションの権利行使によって利益を得られる可能性がある一方、株価が下落した場合には、権利行使による利益が得られない、あるいは損失を被る可能性もあります。

株式交付費ストックオプション導入の検討ポイント

株式交付費ストックオプションを導入する際には、以下のような点を検討する必要があります。

導入目的の明確化

株式交付費ストックオプションを導入することで、どのような効果を期待するのかを明確にする必要があります。例えば、従業員のモチベーション向上、優秀な人材の確保・定着、人件費の抑制など、具体的な目標を設定することが重要です。

対象者の選定

株式交付費ストックオプションの対象者を、経営層、管理職、一般社員など、どのように選定するのかを決定する必要があります。対象者の選定は、導入目的や、企業の規模、業種、経営状況などを考慮して行う必要があります。

権利行使条件の設定

株式交付費ストックオプションの権利行使条件として、権利行使価格、権利行使期間、権利行使時の業績目標などを設定する必要があります。権利行使条件は、導入目的や、従業員のモチベーション向上効果などを考慮して、適切に設定する必要があります。

会計処理・税務処理の理解

株式交付費ストックオプションの会計処理や税務処理は複雑であるため、導入に当たっては、専門家のアドバイスを受けるなど、適切な対応が必要となります。

情報開示の徹底

株式交付費ストックオプションの導入に当たっては、対象者に対して、制度の内容やリスクなどを十分に説明し、理解を得ることが重要です。また、投資家に対しても、制度の内容や財務諸表への影響などを適切に開示する必要があります。