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株式通常損害額算定基準

更新:2024-06-15 04:32:33読む:79

株式通常損害の概要

株式通常損害とは、会社法上の責任追及事件において、株主が、取締役などの会社関係者の違法行為によって損害を被った場合に、その損害が株主としての地位に基づいて共通に生じたものとして、会社に対して請求できる損害賠償を指します。会社が受けた損害を間接的に株主も被るという考え方ではなく、株主が独自の権利を侵害されたことによって直接的に損害を被るという考え方に基づいています。

従来の判例法では、株主は、会社が受けた損害を回復するための派生的訴訟を提起することによってのみ、間接的に救済されるとされてきました。しかし、このような間接的な救済方法では、会社が訴訟を提起しない場合や、会社と取締役などの関係者が癒着している場合には、実質的に株主が救済されないという問題がありました。

そこで、最高裁判所は、平成16年7月13日の判決において、株主が独自の権利を侵害されたことによって直接的に損害を被った場合には、会社に対して株式通常損害の賠償を請求できるとの判断を示しました。この判決は、株主の権利保護を強化する画期的なものとして、高く評価されています。

株式通常損害の成立要件

株式通常損害が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 株主としての地位に基づく損害であること

損害が、株主としての地位に基づいて生じたものでなければなりません。具体的には、株主総会における議決権や、剰余金の分配請求権など、株主としての権利が侵害されたことによって生じた損害であることが必要です。

2. 会社関係者の違法行為が存在すること

取締役などの会社関係者に、善管注意義務違反などの違法行為が存在しなければなりません。違法行為としては、背任行為、競業取引、利益相反取引などが挙げられます。

株式通常損害

3. 違法行為と損害との間に因果関係が存在すること

会社関係者の違法行為と、株主が被った損害との間には、相当因果関係が存在しなければなりません。違法行為がなければ損害が発生しなかったといえることが必要です。

株式通常損害の計算方法

株式通常損害の計算方法は、ケースバイケースであり、一概に決まっているわけではありません。ただし、一般的な計算方法としては、以下の2つの方法が考えられます。

1. 時価下落による損害

株式通常損害

会社関係者の違法行為によって株価が下落した場合には、その下落幅を損害として請求する方法です。具体的には、違法行為が公表される直前の株価と、公表後の株価との差額を損害として計算します。

2. 配当減額による損害

会社関係者の違法行為によって配当が減額された場合には、その減額分を損害として請求する方法です。具体的には、違法行為がなければ受け取ることができたであろう配当額と、実際に受け取ることができた配当額との差額を損害として計算します。

株式通常損害に関する実務上の問題点

株式通常損害は、株主の権利保護のために有効な制度ですが、実務上は、以下のような問題点も指摘されています。

損害の立証が難しい

損害額の算定が困難

訴訟費用が高額になる

これらの問題点があるため、株式通常損害を請求するかどうかは、弁護士などの専門家に相談の上、慎重に判断する必要があります。

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