株式個人名義から法人名義

株式個人名義から法人名義への変更：メリット・デメリット、手続きを徹底解説

起業当初は、手続きの簡便さやコスト面から、株式を個人名義で保有しているケースも多いでしょう。しかし、事業の成長に伴い、法人としての信用力強化や、事業承継対策などを検討する段階になると、株式個人名義から法人名義への変更を検討する必要が出てきます。

本稿では、株式個人名義から法人名義への変更について、メリット・デメリット、具体的な手続き、注意点などを詳しく解説していきます。

1. 株式個人名義と法人名義の違いとは？

株式の所有者を「誰にするか」は、会社経営の根幹に関わる重要な選択です。個人名義と法人名義では、それぞれ以下のような特徴があります。

1-1. 株式個人名義

文字通り、株式を個人で保有する形態です。メリットとしては、設立時の手続きが簡易で、費用も抑えられる点が挙げられます。また、株主総会や取締役会の開催義務がなく、意思決定が迅速に行える点も魅力です。

一方で、個人事業主と同様に、会社の負債を個人で負う無限責任を負うことになります。また、事業承継の際に、相続税が高額になる可能性も考慮しなければなりません。

1-2. 株式法人名義

会社が株式を保有する形態です。メリットとしては、会社の信用力向上、経営の安定化、相続税対策などが挙げられます。また、株主が変更になっても、会社の経営には影響を与えないため、安定した事業運営が可能となります。

一方で、設立時の手続きが複雑で、費用も高額になりがちです。また、株主総会や取締役会の開催義務があり、意思決定に時間がかかる場合もあります。

2. 株式個人名義から法人名義への変更：メリット・デメリット

事業の成長段階や経営状況に応じて、株式個人名義から法人名義への変更を検討する必要が出てきます。変更によるメリット・デメリットを理解した上で、適切な判断を行いましょう。

2-1. メリット

株式個人名義から法人名義に変更することで、以下のようなメリットが期待できます。

信用力向上：対外的に「法人経営」として認識されるため、取引先や金融機関からの信用力向上に繋がります。資金調達もしやすくなるでしょう。

経営の安定化：経営者が交代しても、株式は法人が保有するため、経営体制が大きく変わることはありません。安定した事業運営が可能となります。

相続税対策：株式を法人が保有することで、相続税評価額を抑制することができます。円滑な事業承継を実現する上で有効な手段となります。

責任の明確化：個人と会社の責任が明確に分離されるため、万が一、会社が倒産した場合でも、個人の財産が守られます。

2-2. デメリット

一方で、株式個人名義から法人名義への変更には、以下のようなデメリットも存在します。

手続きの煩雑さ：株式の名義変更には、様々な手続きが必要となります。専門家のサポートが必要となる場合もあるでしょう。

コスト発生：名義変更に伴い、登録免許税や司法書士への報酬などの費用が発生します。

議決権の移動：株式を法人が保有することで、議決権が法人に移動します。経営の自由度が制限される可能性も考慮する必要があります。

3. 株式個人名義から法人名義への変更手続き

株式個人名義から法人名義への変更手続きは、大きく分けて以下のようになります。

株主総会の開催：株式の譲渡に関する議案を提出

株式譲渡契約書の締結：個人と法人間で株式譲渡契約を締結

株主名簿の書き換え：新しい株主名簿を作成

変更登記の申請：法務局へ変更登記を申請

手続きには、専門的な知識が必要となる場面も多いため、司法書士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

4. 株式個人名義から法人名義への変更：注意点

株式個人名義から法人名義への変更を検討する際には、以下の点に注意が必要です。

税金対策：株式譲渡によって、譲渡所得税が発生する可能性があります。事前に税理士に相談し、適切な対策を検討しましょう。

株価評価：適正な株価で株式を譲渡する必要があります。専門家に評価を依頼するなど、客観的な評価を行いましょう。

事業承継計画：株式の名義変更は、事業承継計画の一環として捉えることが重要です。将来を見据えた計画を立て、専門家と相談しながら進めていきましょう。

株式個人名義から法人名義への変更は、会社の成長、安定化、事業承継対策など、様々なメリットをもたらします。一方で、手続きの煩雑さやコスト、税金対策など、考慮すべき点も少なくありません。専門家のサポートを受けながら、慎重に進めていくことが重要です。