株式死んでる

「株式死んでる」 現象と考察

近年、特に若年層を中心に「株式死んでる」という声が聞かれるようになった。バブル崩壊後の低迷期を知る世代にとっては意外な感覚かもしれないが、現在の20代、30代にとって株式投資は必ずしも魅力的なものではなくなっているようだ。では、なぜ彼らは「株式死んでる」と感じるのだろうか。本稿では、その背景と要因について考察していく。

1. 低成長時代の閉塞感

まず挙げられるのは、長引く低成長時代の閉塞感である。日本経済はバブル崩壊後、長らく低迷が続いており、デフレからの脱却も容易ではない。賃金の上昇も鈍く、将来に対する不安を抱える若者が増えている。このような状況下では、株式投資で資産を増やそうという意欲も湧きにくいのも無理はないだろう。

2. 情報過多と投資の複雑化

インターネットの普及により、誰でも簡単に膨大な情報にアクセスできるようになった。これは一見、投資家にとって有利なように思える。しかし、逆に情報過多によって、何が正しい情報なのかを見極めるのが難しくなっているのも事実である。また、金融商品の多様化や取引手法の複雑化も進み、投資初心者にとってはハードルが高い。結果として、「株式投資は難しくて面倒なもの」というイメージが先行し、敬遠する若者が増えている可能性がある。

3. 新たな投資対象の台頭

近年、株式や債券といった伝統的な投資対象以外にも、仮想通貨やNFTなど、新たな投資対象が登場している。これらの新しい投資対象は、従来の金融商品に比べて値動きが大きく、ハイリスク・ハイリターンである点が特徴だ。若年層の中には、こうした刺激的な投資に魅力を感じ、株式投資から離れていく人も少なくない。

4. 投資に対する価値観の多様化

現代社会においては、物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさや社会貢献など、価値観が多様化している。従来のように、ただお金を増やすことだけが目的ではなくなり、自分の価値観に合った投資先を選ぶ人が増えている。例えば、環境問題に関心の高い若者であれば、再生可能エネルギー関連企業への投資を選ぶかもしれない。このように、投資に対する価値観が多様化していることも、「株式死んでる」という感覚に繋がっている可能性がある。

5. 若年層の投資リテラシーの不足

日本の金融教育は遅れており、若年層の投資リテラシーは決して高いとは言えない。学校教育でも投資について学ぶ機会は少なく、家庭でも投資の話をすることは少ないだろう。そのため、株式投資に対して漠然とした不安や抵抗感を抱く若者が多く、結果として「株式死んでる」という声が生まれていると考えられる。

「株式死んでる」の先にあるもの

「株式死んでる」という声は、若年層の現状に対する諦めや失望の表れとも捉えられる。しかし、同時に、新しい時代における投資のあり方や、経済社会全体に対する問題提起でもあると言えるだろう。今後、若年層が積極的に投資に参加するためには、投資環境の改善や金融教育の充実など、多角的な取り組みが必要となるだろう。