株式評価益権

株式評価益権とは

株式評価益権とは、未公開株式の価値が上昇した場合に、その利益を受ける権利のことです。具体的には、従業員等に対して、将来の株式公開（IPO）やM&A等による株式価値の上昇を見込み、あらかじめ定められた価格で自社株を取得できる権利を付与する制度を指します。従業員のモチベーション向上や優秀な人材の確保を目的として導入されるケースが多く見られます。

株式評価益権のメリット

株式評価益権を導入するメリットは、企業側と従業員側の双方にとって存在します。

企業側のメリット

人材の確保・定着：優秀な人材の獲得や、既存従業員のモチベーション向上、定着率向上に繋がる可能性があります。特に、成長中のベンチャー企業やスタートアップ企業にとって、魅力的な報酬制度として機能します。

資金調達の優位性：株式評価益権制度を導入することで、将来的な株式公開を見据えた資金調達において、投資家からの評価が高まる可能性があります。優秀な人材を惹きつけ、企業の成長を促進する制度として評価されるためです。

給与コストの抑制：株式公開前の段階では、従業員は低い行使価格で株式を取得できるため、企業側は高額な給与を支払う必要がありません。将来的に株式価値が上昇した場合にはじめて、従業員に経済的なメリットがもたらされる仕組みです。

従業員側のメリット

インセンティブの向上：株式評価益権を行使することで、将来的に自社株を低価格で購入し、株式公開やM&Aによる売却益を得るチャンスがあります。従業員は、自らの貢献が会社の成長に繋がることを実感し、より一層業務に意欲的に取り組むことが期待できます。

会社への帰属意識の向上：株式評価益権を持つことで、従業員は自らを会社のオーナーの一員として認識し、会社へのエンゲージメントやロイヤリティが高まる効果が期待できます。従業員は、会社の経営状況や将来展望に関心を持ち、より積極的に意見やアイデアを出すようになる可能性があります。

株式評価益権の種類

株式評価益権には、主に以下の３つの種類があります。

ストックオプション：従業員が一定期間経過後、あらかじめ定められた価格で自社株を取得できる権利のことです。最も一般的な株式評価益権制度の一つです。

制限付株式：従業員に対して一定の条件を満たした場合に、自社株を付与する制度です。条件としては、一定期間の勤務や業績目標の達成などが挙げられます。

ファントムストック：株式を発行せずに、株式と同様の経済的価値を従業員に付与する制度です。株式公開やM&Aが行われた際に、株式評価益に相当する金額を受け取ることができます。

株式評価益権の導入における注意点

株式評価益権を導入する際には、以下の点に注意する必要があります。

制度設計：従業員のモチベーション向上に繋がるよう、権利行使条件や付与対象者などを適切に設定する必要があります。専門家のアドバイスを受けながら、自社の状況に最適な制度設計を行うことが重要です。

会計処理：株式評価益権は、企業会計上、適切に処理する必要があります。専門家の意見を踏まえ、適切な会計処理を行うことが求められます。

従業員への説明：制度の内容やメリット、リスクなどを従業員に分かりやすく説明する必要があります。従業員の理解と納得を得ることで、制度の効果を最大限に発揮することができます。

株式評価益権は、適切に運用することで、企業と従業員双方にとって大きなメリットをもたらす可能性を秘めた制度です。導入を検討する際には、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に進めることが重要です。